あら?
という間に3ヶ月。
ブログを書く、しかもお酒とともにゆるゆるゆらり、な~んていう時間はまるでなかったわけなんですが、いやはやちょいとぐったりんこ。
家に帰ると、いつもなら日本酒なり焼酎なりで一杯やる代わりに部屋の片隅でSimon and Garfunkel「スカボロー・フェア」に耳を傾ける。
繰り返し繰り返し。
ああ落ち着く。
清流が岩に染みいるように、涼しげな何かがおいらの体を通り抜けるよう。
あれ?あんたの大好きなお酒は?
はい。けして健全とは言い難い精神状況だと、気分良く酔えないわお酒も美味しく感じられないわ無駄に杯を重ねて次の日気分悪くなって仕事もイマイチになっちゃったりして、まあ良いことなんてナッシングなわけで。なんていって、言い訳がましく微妙な距離感。
ということで、この3ヶ月間はもっぱらいくら呑んでも何故か酔っ払うことのないビールとか薄目にした焼酎を黒千代香でジュジュジュっとさせた燗で乗り切って。
日本酒ですか?
う~ん。
この3ヶ月での消費量、一升瓶かろうじて一本というところでして。
やはりなんか日本酒は、別次元にあるような。
憂いよりも明日への活力が勝るとかね。
もしくは体のあちこちに無駄な力が入っちゃってるから一度軟体動物みたいにぐにゃぐにゃになっちゃおうとかね。
日本酒を呑むってのは例えれば「真剣勝負の遊び」みたいなもので、ガチンコを楽しもうという気分で呑んだりするので、仕事もプライベートもイケイケドンドコドンな時ならこれ以上ない楽しい仲間なんですが、いまは日本酒から見てもどことなく「呑ませるには張り合いのない」のむりんと映るらしく。
お酒置き場を覗いてもですね、なんか日本酒には背を向かれてるのがわかるのです。
ああ聞こえる。
「ちぇっちぇっ、張り合いないなあ。いまのあんたに呑まれても嬉しくないや。ああ、八幡、ちょいと相手してやってくれよ。薄めてもらってな。ジュジュっとさ。」ってな感じで『神亀』あたりからは全く相手にされず。また今度なバイバイってされるのです。それがわかる、のがツラい。セツナイ。
「しょうがないっすね。私でよろしければダレヤメいたしましょう。しかし、薄めで。」とこれまた同情されてんだかなんだかわからぬままに懐深き芋焼酎『八幡』を2と8で割ったかなり薄めのやつで。
こいつは、ジュジュジュっと焼くぐらいのが、断然旨い。
特に最初の一杯目は、沸騰を免れた幸運の滴が舌で踊るのだからたまんない。
二杯目以降も最初の甘みが口に溶けてその後に辛みがズズンと押し寄せてきますから、呑み飽きるのが無理ってもんで。
いや~いいっすね。
さてもう二合ほどおかわりしようと『八幡』に手を伸ばす。すると「もう、今のあなたはこれぐらいにしときんさい」とやんわり。
え、え、そりゃあないじゃんと訴えても、懐深いが一度言い出したら絶対に自分を曲げないのが『八幡』という酒であることを知ってるおいらは、すがるような目で『さつま寿』に目をやるのだけど「八幡の兄ぃに言われちゃあ」と苦笑いするばかり。
気づくと、酒置き場のお酒たちがみんなおいらに背を向けて眠りについてしまったよう。なんか真っ暗な感じ。
ちぇっちぇっ。
おいらのお酒なのに。
おいらのお小遣いで買ったお酒なのに、おいらが呑みたいときに呑ませない酒ってどうよ?
疲れた体を癒してくれるのが酒なんじゃないんかね。。。
そんな大好きな酒とも、ちょちょっと微妙な距離感とすれ違いを感じる、まるで思春期真っ盛りのような日々をすごしてたんす。
そんな「なんつ~かな~」な不完全燃焼な日々を送ってたおいら、会社にはズルズルと引きずる気持ちで出社して。
仕事に魂入りきらぬのはもはや年のせいなんかと、30代後半がなにいってまんねんというツッコミ覚悟の日々を過ごしてましたが。
そんなある日、後輩となにげない会話をしてたわけです。
休日どんなふうに過ごしてんの?最近仕事忙しいわりにはお互いうまく行かなかったりして疲れるから休日待ち遠しいよな~ハハハ~なんて。
そりゃもう、なにげなく、まさに社交辞令的な挨拶半分だったのですが。
そこで後輩は少し首を傾げてしばし考えて曰く。
「仕事がうまくいかなきゃ、いくら休日に休んだってダメだと思うっす。心安まらないっす。」
いやいやそりゃそうだけどさそうそう毎日うまくいくわけじゃあるまいて。
「ダメな理由によるっす。でも、自業自得なミスをしておいて、それで勝手にやる気失ってるだけならダメと思ってるっす。」
・・・む。なんか胸がジンワリと痛いのは何故?
「俺思うっす。逃げてたら、いくら休日迎えたって心休まらないと思うっす。」
・・・はい。
「結局。仕事の借りって、仕事でしか返せないんじゃないかって。シンプルにそう思うっす。」
部屋の片隅で、三角座りして聞いてたスカボローフェアとは違う、カチっとした何かがおいらの中を通り過ぎる。
そう、確かに。
何か自分の外に今の自分のダメな理由を置いちまったような。
人からの期待は重荷にしか見てこなかったような。
そんな自分は何かからヒタスラ逃げてたんかもしれないっす。
心新たに、家に帰ってお酒置き場を覗く。
むむ。なんか、活力。ぴっかぴかに存在感をアピールするお酒たち。おいらをジロっと一目見るなり、お酒たちが口々に言う。
「ふん。ちったあマシなツラだ。今日はいっちょ揉んでやらあ!」
そう言うや否や、代わる代わるおいらに襲い掛かってくる。
『神亀』、『凱陣』、『風の森』が「俺を熱しろ!」と叫びながら向かってくる。
むむ!ちょこざいな!こっちも、負けるもんかと次々とこれらの燗酒浴びせ呑んだる。
うわあ、左側から『萬膳』右から『萬年』がおいらを押し倒しにかかる。
日本酒も、焼酎も、容赦なく。
おいらは全身で受けたり跳ね返したりしながらガツガツ闘う。
呑むには呑むが、呑まれはせず。
逃げもせず。
しかしひたすら全身で味わうのだ。
ただ、ただ、呑む。
いい、酒はやっぱいいよなあと味わうのだ。呑むのだ。
必要なものが、自分にジジっとよみがえる。
自分自身にもう一度、バックンバックンいわせるやつを。
そう、魂を呼び戻すのじゃ。
明日の活力ガッツリと。
本日も旨い酒を、呑ませて頂きやす。
ごっつぁんです!!!
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