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2007年8月11日 (土)

おおらかに、おおらかに

仕事にも精が出る金曜の午後と歌ったのはウタダですが、いやいや今日は(も?)全然出ません。
昨日夜から興奮して眠れないし。
朝は気も漫ろで昼飯も喉を通らず。(嘘。たんまり食べた)
午後の打ち合わせの資料には落書きしかして無いよ。(これはホント)

なにをそんなにソワソワしてんのかって?
というのも、今日もまた縁を頂いて熟成酒についていろいろお話をして下さると言う酒屋さんにお会い出来ることになってたのです。
ほんとほんと、良縁感謝だな~。

で、無事金曜午後遠方の出張先での仕事を終えて(金曜午後の仕事は出張で終えるに限りますにゃ)、更にそこから電車をトコトコと乗り継ぎしながら1時間ほど。
電車も1時間に2本ぐらいしかないし。
電車のドアを開けるにはボタン押さないといけないし。
最寄り駅からそのお店の途中からは街灯も無くなるし。
ン、でも町並みは何となく僕の田舎に似て無くも無い。

本日お伺いしたのは、そんな街にある酒屋さんでした。

先日名古屋で伺ったお店と同様に、お酒の熟成についていろいろお話を聞かせて欲しいということを予め電話でお伝えしておりましたので、お店に着いて今日熟成酒についてお話を伺いに参った者ですという旨を告げると、お店の奥さんが出てこられて
「いらっしゃいませ~。あら~でもちょうど主人が配達に出ちゃったところなの~」
ということだったので、店の奥さんとしばし日本酒談義。
遠くから来たということでお店にあるジュースまで出して頂きました。
おお、この温かいほのぼのとした雰囲気・・・期待が膨らむというものです。

しかし、しかし。
ムム?
お店の冷蔵庫にはなんか至って普通のお酒しか見当たらないんですが・・・
まだまだピンピンしている若いお酒ばかりではないですか~?

僕がそう思ったのを察知したのか、
「熟成したお酒は全部倉庫にあるの。もうちょっと待っててね」
と。

えっ?
っていうことはもしや倉庫まで見せてくれるの・・・?
と思うと、ちょいとドキドキ。

それから10分ぐらい経ったあとに、眼鏡をかけたニコニコした男性の方がお店の中に。
「お待たせしました~!」

「遠くからほんとわざわざ来て頂いて~」

いやいや、(強引に作った)仕事のついでだったのでどうぞお気になさらず。

自分がどうやって熟成したお酒が好きになったのかなどをひとしきり話をしたあとに、酒屋さんが熟成酒に興味を持った経緯なども一通りお話頂く。

その後、「じゃあ、倉庫に行きましょうか?」
(本当に連れて行ってくれるんだ!)

ということで一緒に店の裏に。

「整理してないんですけどねえ」
と言って招き入れてくれた倉庫は・・・

おいらは息を呑む。目は見開く。鼓動は早鐘。そしてこれは(きっと)夢じゃない。
だってそこはもう!
足の踏み場も無いほどにギッシリと熟成酒が詰まってるんだもの!
これぞ宝の山だよおっかさん。
産んでくれて、そして育ててくれてありがとう。
いや大袈裟じゃなく何故か母の顔が浮かんでしまった・・・
(こんな単なる飲兵衛に育っちゃってゴメンなさい)

足の踏み場は、比喩じゃなくて本当にないぐらい。
でもそこにはワインやら、様々な日本酒が、ケース単位でバン・ボン・ボボン!

すいません、そこにあるお酒って何年ものですか・・・
「あ、、、どうだろう。このケースの下ってことは・・・●十年かなあ。」
お母さん、本日2回目の眩暈がしました。

その、バン・ボン・ボボンな宝の山のような倉庫の中で、いろんな話を聞かせて頂きました。

僕も実家の蔵で日本酒を自家熟成させてるんです。でもやはり常温熟成と冷蔵熟成は違いますか?
「うん、やっぱり違うよね。ここはいつも15度ぐらい。四季を通じて温度変化は±5度ぐらいなんだよね」

どう違ってきますか?
「味わいはそれぞれだから一概には言えないよね。でも、やはり間違いなく常温熟成の方が熟成は進みますよ。四季を通じて温度の変化が出てくるから。」

温度変化も熟成においては重要なんですか?
「そう、それは経験上言えますね。逆に言うと、ここに置いてあるお酒は思ったより熟成が進んでませんよ。やはり温度変化が少ない分ね。10年熟成したお酒を呑んでも、ああこんなもんかと思うときがあります。」

ムムム・・・そうなんですか?
「はい。でも、一概には言えないのです。これが難しいところですね。」

あと、造りはもちろんだと思うのですがその他どういう条件が熟成に影響を与えるんですか?
「精白も重要だね。低精白のお酒は熟成させるとホントうまいよ~」

あまり磨かないお酒はどうですか?
「味は比較的乗りやすいよね。味の変化を楽しみたいならむしろそっちだよね」

なんか、磨かないほうが味が乗ってくるイメージがあるんですよ。勝手な想像ですけど。
「うん、間違ってはないですよ。でもね、低精白の熟成酒もねえ・・・(ちょっと恍惚した表情)。あとは吟醸香。熟成したときにこれもいろんな影響を与えますよね」

ええ、それはどういうことなんですか・・・
もう、エンドレス。
その他、今までの熟成酒への取り組みについて。
熟成させたにごり酒の味わいについて。(逆に酒屋さんはあまり呑んだことないらしい)
今取り組んでいるのは、理解ある酒蔵さんにあえて劣化したお酒を造って貰って呑み比べてみようとしているとのこと。(これを申し入れるのは勇気がいるらしいですが・・・そりゃそうですよね・・・)
お酒にキャップのゴム臭がついてしまったもの、生ヒネ香を放つもの、その他熟成における失敗例と思われるものを。
そして、これらのお酒と本当に良く出来たと思われる熟成酒を一緒に呑み比べてみる。
これを呑み比べてみたときに、何か見えて来るものがあるのではないかと。
熟成と老ね、本当に紙一重の話で個人の好みにも左右される。
そうすることで、見えてくるものがあるのでは・・・?
1970年に仕入れたワインの倉庫熟成中の瓶を見せてもらいながら日本酒とワインの熟成についても教えてもらったり、焼酎の熟成について、十四代が世に誕生してから今までの味の変化、その他熟成における酵母の役割やら東京農大の小泉教授から熟成酒について教わったことなどなど・・・嗚呼やっぱり書ききれんナリよ。

正直、この時点で満漢全席を味わったぐらいにもう満腹。至福。嫌だけど死んでもいいのかも。そう思って倉庫を出て店に帰ろうとした矢先・・・

「あ、あと設定温度を変えた倉庫がまだあと2つあります」

あぁ、母ちゃん、本日3回目の眩暈が・・・

温度を変えた倉庫もそれはそれは見ごたえタップリ。
っていうか、寒くて中ではさすがに長時間話せず。倉庫を見ながらいろんなお話を。
しかし・・・どれだけのお宝が詰ってるのですか???ああ、南極探検隊ばりの耐寒服を着て倉庫奥に突き進みたいナリが・・・

話を伺うと、倉庫の奥の方はもう軽く十年以上もそのまんまなんだそうです。

「いつか倉庫の中のお宝発見大会やるから、その時には呼びますね」
お・・・おいらなんぞ・・・勿体無いです。なんて殊勝なことは言わず、是非お願いしますっっ!即答です。

とりあえず2つ目の+2度に設定した冷蔵倉庫の中から2本をチョイス。
奥の方にあるだろうという銘柄を聞いてそこから選ばせてもらいました。
1997年瓶詰めの純米生原酒と2000年瓶詰めの火入れの純米吟醸酒を。
・・・ってか、こんなお酒あっていいんですか?
いやいや、こんな宝の山の中で、単に銘柄で選んでもしょうがないんだけど・・・でもこんな熟成させて旨いとされるお酒、これがすげえ美味しかったらどうしよう。もう2度と会えないんだろうな。
「あ~両方とも何ケースかまだあるから、いつでもおいで」

・・・母さん、またまた眩暈がしました。

ちなみにこのお店に最初に問い合わせた時に、「水曜に来れたら良いですね」と言われてたんです。
なんでかな?水曜って定休日と聞いてたのだけどと思って帰り際にその理由を聞いたら、
「水曜は定休日で配達もなくてずっと家にいるから、もしその日に来て貰えらた半日ぐらいかけてゆっくり自由に倉庫を探してもらえるから」
という意味だったそうな。。。

おおらかな。
なんとおおらかな。

そうか今日僕がこの「熟成酒」を目の当たりに出来たのはこのお店の方の『おおらかさ』のおかげなんじゃないかと感じ入りました。
そうだよなあ。
おおらかにいこうよ「熟成酒」。
だってお燗で旨い酒なんだもの。ね。

街灯のない道を、コケないように亀のようにノソリノソリとこの2本を雛鳥を抱えるが如く大切に駅まで持ち帰り、電車の中では今日お話してもらった言の葉をひとつずつ思い出してみる。
もう、ある意味抱えているお酒以上に宝物でした。
ここに全部書ききれないのが・・・残念です。

そしてこれは「のむのむ日記」であって「買う買う日記」ではないので、基本的には味わった感想なりを書かねばなりません。(時々例外ありますけど)

まずは2000年詰めの火入れのお酒の方を。
いつも通り錫のお猪口を使ったお猪口燗で・・・

ズンッ

そのショットは見事にグリーンを捉えるかのごとく、最初は軽快に舌に乗ったかのよう・・・
しかし、ズンッと重い。
そして熟成したお酒に時々ある、ある種の苦味も舌全体に広がる。
ムム、これを・・・ヒネというのか?
濃い味わい、そしてその後にくる若干の苦味、しかし確実に感じる熟成したお酒の旨み・・・
ねえねえ、これヒネ?誰か詳しい人呑んで教えてくれ~!!
ヒネと熟成の違い、これをちょっと知りたいのですが・・・

そして1997年詰めの純米生原酒。
これはあえて僕が今までの中で間違いなく一番旨い!と感じている生原酒系の熟成酒であるH15BYの風の森アキツホ50%と呑み合わせてみる。
まず、今日買ったお酒から・・・
おう、熟成した香り、先ほどではないけどちょっとした苦味と、、、まだちょっと花が開いてない感があります。
うん、まだ開けたてだもんね。
風の森は甘味も膨らみも、そしてなにより米の旨さが舌の上でその都度満開だから、今の時点では若干味わいの差はあります。
しかしこれを常温に置くとどう変化していくのか・・・楽しみです。
え?もち、常温熟成しても大丈夫そうなお酒です。
いや、むしろ常温で置きたいぐらいのお酒ですよ・・・

ちなみに冷蔵庫への保存代についてはどのように考えられているのか伺いましたが、値段は「そうそう、変えられないね~」と。
僕の買ったお酒、価格は当時のままの火入れが3000円で生酒が2400円。
まあ僕は嬉しいけど・・・良いんでしょうか?
まだ熟成酒への理解が進んでいない現在、値段変えても難しいだろうということでした。
あ、そういえば倉庫の中には「子供が成人したら呑む」んだっていうお客さんの為に冷蔵しているお酒ってのもありましたね・・・。
「地震があったりして割れたらゴメンっていうことでね」
いやいや、そういう問題ではないような・・・気もするんですが、これも「おおらか」から来るのだ!
熟成専用の冷蔵庫も持たない僕にも出来る、熟成させるお酒に不可欠なもの。
それは「おおらかな」気持ちで待つ。
う~ん、名古屋に続き、また学びました。

いつかまた水曜日にジックリとここでお宝探ししてみたい気もするけど、でもここは「おおらか」精神を持って、いつの日か酒屋さんが倉庫を整理してみて面白いお酒が出てきたら連絡もらうのを待つってのも悪くないんではないか、むしろそうあるべきなんではないかと思ってしまう次第。
それでも時々また伺って倉庫でいろんな話を聞きたいなあ。

今日、本当に素敵な酒屋さんにまた出会えました。
この良縁に、感謝!感謝!感謝であります。

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コメント

お酒を汚さずに熟成させたければ、やはり冷蔵貯蔵に頼らざるを得ません。
特に磨きの高いお酒はその良さ(きれいさ)を保つためにも冷蔵が望ましいです。
が、如何せん時間がかかりすぎるのが難点ですよね。
生原酒の常温熟成が取り沙汰されていますが、いきなり…はお勧めしません。
せめて一夏越してからじゃないと。

仰るとおり低精白のお酒の方が熟成による変化が早く顕れますが、
これを冷蔵でじっくり熟成させるとまた格別。
要は、「熟成」に充てる時間をどのくらい取れるか、なのではないでしょうか。

もちろん、まっとうな造りをされたお酒であることが大前提であることは言わずもがなですが…。

投稿: 燗酒おやぢ | 2007年8月11日 (土) 09時10分

のむりんさんの人柄がこのような
出会いをよんだんですねぇ。

なんだかその酒屋の旦那さんご自身も
熟成された方のように思えますね(笑)
こちらまで読んでいて爽やかな気持ちに
なりました。 感謝!(笑)

投稿: hibiya | 2007年8月11日 (土) 22時35分

燗酒おやぢさん

熟成について考えれば考えるほど、まっとうな造り、原点ともいうべきこれについてもっともっと知りたくなってきました。

そして、、、やっぱ専用の冷蔵庫ほしいですね!
むむ・・・なんとかならんかなあ・・・

投稿: のむりん | 2007年8月12日 (日) 00時46分

hibiyaさん

いやいや、人柄はむしろ逆でして・・・
おおらかな人にならなきゃ!と思わされた次第です。
ほんと勉強させてもらいましたっ

以前別の店で手にした「満天星」も「おこぜ」も今回のお酒も是非皆さんと呑みたいので、取っておきます。
是非是非このお酒の「想い」を共有しましょう!

投稿: のむりん | 2007年8月12日 (日) 00時51分

冷蔵庫は…忘れられる人にしかおすすめできません♪
そのお金でいろんなまっとうな酒を呑んでほしいっ!! (笑)

投稿: 燗酒おやぢ | 2007年8月12日 (日) 06時57分

燗酒おやぢさん

う~ん確かに五年十年は待てませんな~(笑)

その分、まっとうな酒を舌で覚えるとしますか~!

投稿: のむりん | 2007年8月12日 (日) 12時25分

こんにちは。
凄いな~、そんな酒屋さんがあるなんて・。
次回の宝探し、私も参加してみたいっす。

投稿: 酒恋倭人 | 2007年8月13日 (月) 10時43分

酒恋倭人さん

はい、背中に電流が走りました。
でも、これでシバシの間は熟成酒のお話伺いは休息しようかと。
頂いたお話を、そのお酒を呑みながら少し自分の中で消化したいのです。

あ、遅くなりましたがリンク貼らせて貰いました。
今後とも宜しくお願い致します。

投稿: のむりん | 2007年8月13日 (月) 12時36分

眩暈の内容を伝えたら、おかあちゃんの方が眩暈しちゃいそうです(笑)。
でも、こうやって突き詰めると、日本酒って本当に楽しいです。
どこまでもどこまでも奥が深くて。
私も、またのむりんさんとこで、お勉強させていただきました。
良い酒屋さんの話を聞くと、ホントに目からウロコですね。

投稿: まき子 | 2007年8月14日 (火) 16時03分

まき子さん

うん、ほんとどこまでもどこまでも奥が深い・・・
これだけ長い歴史があるのに。
日本酒は楽しい。美味しい。
もっといろんな人が気づいてくれれば!と思います。切に。

おかあちゃん、先日蔵の中にある熟成酒の入ったP箱の山を見て眩暈がしたそうです・・・(笑)

投稿: のむりん | 2007年8月15日 (水) 00時59分

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