雨をみたかい
梅雨を迎えた休日の朝。
いつも通り、罪のない寝顔全開でスヤスヤ寝ておりますと、なにやら外からおいらを呼ぶ声がするのです。
ザワワワワワワワワ。
バババババババババ。
んが。何の音じゃらほい?
でも、まだまだ寝たいもんだから、布団を頭から被る。
と、なんと次は窓を叩くのだ。
バシバシ。バシバシバシ。バシバシバシ。
むむ。
と、寝ぼけ眼を片目だけ開けますと。
ああ、なんだ。
雨か。
雨がおいらを起こすのですか。
まだ眠いんだけどにゃ。
でも、わざわざ雨がおいらを起こすにはそれなりの理由があるのかもなぁ・・・と思いつつ眠気に勝てず再びまどろむ感じでムニャムニャしはじめると
オキロオキロオキロオキロオキロオキロオキロオキロ・・・
雨は、自由自在な音色でおいらを起こそうと試みるのです。
しゃーないっす。
ということで、休日にしては珍しく起きまして。
外は、雨。
でも雨の日の理想の過ごし方、おいらは知っているのです。
もう、それはいたってシンプル。
読もう。呑もう。
こんだけっす。
お気に入りの作家の本でも買ってきて、の~んびりとお酒呑みながら寝っころがりつつ読んでれば、いいのです。
ということで、顔を洗って歯を磨いて、髪の毛はちょっとボサっとしたままですが傘を持って外へお出かけ。
雨は、外に出たオイラを見るとパラパラと優しげな雨音に早変わり。
意外に優しいのですね、雨ってやつは。
さて、まずは本屋へ。
図書館の本もいいですけどね、本屋で新刊本を買うという、このなんとなしに贅沢な感じが雨に濡れた雰囲気を軽やかに押し上げるというもので。
なんといっても新刊の本を広げた時の紙の匂いがね。
これがなんとも言えず大好き。
思わず鼻からス~っと息を吸っちゃわずにいられないですなあ(もちろん買った後に家の中で、です)
そんな麗しき気持ち、まんぱんになるから、たまらないですよねえ。
次はパン屋にGO!
本を汚さずに、読書の邪魔をせず、そしてお酒のつまみになる、サンドイッチなんぞを作らねば。
こぼさずに食べるには、よくある「サンド」よりは「コッペパン」に挟んだほうがエエってもんで。
そんな手頃な大きさなコッペパンを売っているところは大変少ないのですが・・・あるところにはあるってもんです。
そして、最後には近所のスーパーに。
ツナをこんでもかっっ!ってぐらいにタップリ使うのがのむりん流。
お肉~はいらない♪
ピクル~スは欲しい♪
レタス~はシャキシャキ♪
リズムに乗って、卵はマヨネーズと一緒にちょっとあえるぐらいがいいっす!
具はギリギリパンからはみ出すぎないほどに。
フィニッシュに黒胡椒を上から少々かけて、そう、わがままでいきまっしょい。
ここまで、布団から這い出て2時間半程度。
準備は完了。そして、ええ、こっからが本番です。
誰にも邪魔されず、愛する本と、お酒と、おいらと、3者のランデブーです。
物語の序盤、30分ほどかけてとっておきの「エーデルピルス」をゆっくり味わいつつ。
こんな梅雨の日は心温まる本を読みたいなあと、小川洋子著『博士の愛した数式』なんてのを片手にしているわけで。
エーデルピルスは冷え冷えだけど、心はジンワリ燗酒モードです。
本を読みつつお酒を呑むときは、酔い過ぎないことが肝心だから・・・アルコールの度数は高すぎずに、しかししっかり味わえるものでないとね。
エーデルピルスを呑み終えたあとは、コンロの前に椅子をもちこんで、これまた読書しながら『さつま寿 旬』を黒千代香でジジッとさせるのです。
網に載せた黒千代香を、弱火で7分きっかり。
だいたい6分ぐらいを過ぎると黒千代香の注ぎ口から「も、も、もはや・・・タマラン」というようにジュジュッジュジュッと訴えてくるけど・・・そこをもう1分少々サディステックに我慢させたところでようやくコンロから開放してあげてね。
おおう、呑み頃です。
芋汁。芋湯。なんでもいいけど、芋の滋養たっぷりのものに違いなくて。
しかしこんな美味しいものを呑まない人がいるんだよなあ・・・とシバシバ思うのですが、そこは人それぞれですからね。
人との出会いが様々なように、酒との出会いも人様々。
ただただおいらは、その幸せを噛み締めるように呑む。それだけなのですけれど。
外はまだ、少しだけ、雨の様子。
時々サンドを頬張り、『旬』を胃に放り込んで、高校時代以来の数式に想いを馳せたり、ついでに高校時代に好きだった人を思い出しちゃったりして、酒呑み読書はあっちへフラフラこっちへフラフラ、なんですけど、それがまたよかったりして。
雨の音は優しげに、ちょっとしたジメジメはこの時期にちょうど良いアクセントと思うぐらいの余裕を持って、休日を過ごす。
時々、ウツラウツラとくる眠りの誘いには逆らわず、スースーと聞こえる自分の寝息も心地良く。
呑んで、食べて、読んで、寝て。
言うこと、ないじゃない。
完璧じゃないですか。
そんな日があることに、感謝する一日を。ありがとう。
どこまでも幸せな日を、ありがとう。
雨よ、ありがとう。
お酒よ、ありがとう。
本よ、ありがとう。
ああ。外に輝く虹よ、ありがとう。
と、思うのです。
そんなおいらは、とことん幸せだなぁ。
なんて梅雨を、過ごしております。
幸せな梅雨を、過ごしております。
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